(C) JMA に一部加筆。
きのうの日本海側に次いで、きょうは太平洋側で猛烈な暑さになりました。
最高気温は福島県梁川39・1℃、福島39・0℃、岩手県釜石38・4℃、一関38・0℃など、
記録的な暑さとなっています。気象官署の福島で39℃に達したのは実に73年振りでした。
また、岩手の沿岸南部など沿岸地域での顕著な高温も注目に値します。
14日午前9時の地上気圧配置を見てみます。
台風9号から変わった低気圧が日本海北部から樺太付近に進みつつありました。
低気圧に向かって東北地方では南西の風が吹き、太平洋側で気温が上がる形です。
きょうは、この典型的なパターンでした。
一般的な見方としては、「フェーン現象」の括りでもよいでしょう。
図は省略しますが、きのう13日は低気圧が朝鮮半島北部にあり、
総観場では等圧線がやや立った形になっていました。
東北地方では南東の風が卓越し日本海側で高温顕著となりました。
気圧配置・卓越風向の変化で日中の高温域がシフトするイメージです。
総観場の気圧傾度がある程度大きくなると、山越えの風は
日変化の海風を押し返す格好になり地上気温を押し上げます。
これは南東系で日本海側で気温が上がる場合も同様です。
同じ時間の850hPa解析図で確認すると、関東、東北南部から三陸沖にかけて21℃以上の領域があります。
これが南西系のフェーンなどの影響により、中部山地の北東(風下)側に形成された暖気塊です。
1500mから地上付近まで乾燥断熱減率(1℃/100m)で下すと単純計算で36℃になります。
日照が出て地表面加熱が始まると、対流混合によって温位の高い空気が地上に下降し気温を押し上げます。
また、当然ながら地上付近では輻射熱の影響があり、+αがあります。
教科書的な意味でのフェーン現象は、湿潤断熱減率(0.6℃/100m)で山脈の風上側を上昇して、
乾燥断熱減率(1℃/100m)で風下側に下降した際に生じる気温差をさします。
ただ実際には複雑な要因が絡んでいて、そんなに単純ではありません。
特に沿岸部では、日変化の海風を押し返していることのほうが重要で
高温発現に寄与しているように思われます。